安来鋼について |
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山陰地方の砂鉄で鋼材を生産し、国内の高級刃物用の鋼の8割ほどを供給しているだけでなく、海外からもその性能を高く評価されているのが、日立金属安来工場で、その製品は「安来鋼(ヤスキハガネ)」と呼ばれる。 主に次のような種類があります。 刃物鋼は、大きく分けて、白紙、青紙(白鋼、青鋼)などの炭素鋼・合金鋼系と銀系やATS34 等のステンレス鋼系に分類されます。 白紙、黄紙、は基本的には不純物を極力低減した純粋な炭素鋼であり、適切な鍛錬と熱処理によって切れ味良く、砥ぎ易い理想的な刃物を製作することが可能です。 青紙はタングステンやクロムを添加して熱処理特性及び耐摩耗性を改善した鋼種で長切れする刃物になります。 白紙は、天然砥石で鋭利な刃が付き、最上のものとされてきました。炭素鋼は不純物が少ないほど焼入れがむずかしいのですが、純度の高い白紙は焼入れの効果が出る温度帯が狭く、最適な温度から急冷しなければ完全な焼入れにならず、硬さが出ません。鍛冶職人の技が問われ、それだけに腕がふるえる鋼といえます。 青紙には、クローム (靱性に関与)とタングステン(硬度に関与)と炭素の化合物(合金炭化物)が点在して含まれます。炭化物はニューセラミックなみの硬度があるため、磨耗しにくく、いわゆる長切れする包丁になります。 焼入れも比較的やりやすく、ゆっくり冷やしても硬度が出るため油焼入れが可能です。 価格的には白紙、黄紙に比べて原料、製法上からもかなり高価になっています。 切れ味や耐摩耗性が要求される場合には炭素量の高い鋼種が選択されます。 ステンレス鋼系の刃物鋼につきましては、いずれの鋼種もクロムを12 %以上含んでおり、錆にくいことから一般家庭用包丁などさまざまな用途に使用しています。 銀3 は炭素鋼並みの硬さと切れ味を得られるステンレス刃物鋼です。 【ATS-34】は銀3よりクロムを増やし、モリブデンを添加したナイフ用鋼材で、硬さ、耐食性、耐摩耗性、靱性などのト−タルバランスに優れているとして世界的な評価を得ています。それよりもさらに炭素もクロムも多いZPD-183もあります。 |
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参考文献 日立金属(株)安来工場資料 |
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